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Story - 4th:One must go abroad to hear of home [04]

第4章 絆はすぐそこに [04]

「彼女の言う通りです。ですが、暗属性を持つ者もれっきとした人。王達は失国をますます虐げようとしています。私はそれに反対しているのです。全ての国をまとめて、ひとつの平和な国を築きたい。そのために、失国のイメージから変えなくてはいけないのです。だから」
「つまり、失国の一番偉い人に会って、一緒に演説してくださいとか言えばいいのよね」
 カナが手を叩いた。
「え?」
「撫子様と失国の偉い人が、みんなの前で大丈夫です、平和宣言!ってことをすれば、万事解決じゃない?」
「おいおいカナ。さすがにそれは夢物語だろう。失国の当主がどんな人かも分からないんだし」
 アイリが両手を広げて批判するが、撫子は首を左右に振った。
「いえ、失国の王は話が通じるはずです……やってみる価値はあるかもしれません」
 撫子が顔を伏せた。髪の毛がたらりと落ちる。
「過去、私の先祖である大和女王がやろうとして出来なかったことです。なんとしても行わなければ」
「大和女王って、あの追放されたという方ですか?」
 カイが質問した。撫子は首だけでそれに返事をする。そのまま解説があるかと思ったが、彼女は口を開くことなく、そのまま沈黙だけが場を制圧していた。
「やまとじょおうって?」
「あー、それはね……」
「ま、目的が決まったんだ。その説明はカナ、あとで嬢ちゃんに個人的に聞いてくれ。とりあえず今後の話もしなきゃだし、今日はどこかで休まないか?」
 沈黙を破ったのはカナの空気の読めない発言と、それに対して論理的なアイリの言葉だった。
「御主人様も良いこと言いますね。そうしましょう。撫子様、よろしいですか」
「ええ。ありがとう」
 顔をあげてにっこりと微笑む。その目がちょうどリョウと合った。
「……」
 彼は神妙な顔つきで、けれども何も言わなかった。

 

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