なんでも、道なりに進んでいたリョウは草むらに何かの気配を感じたという。
そうして近寄ってみれば彼がいたというわけだ。
あまりの軽さにそれほど力のあるわけでもないリョウでもひょいっと持ち上げることが出来たくらいで、
そこに置き去りにするのもなんか気が引けると思ったらしい。
なので今こうして目の前に連れて来たのだという。
「でも、どうしようもないじゃん」
どきっぱりとカナが言った。
「……いやまあそうなんだけど」
『お前がそう言うのかよ』
これまで自分やアイリと同行している様子を見ていたからこそ、リョウは少し驚いた。
アイリが骨(仮)をつつく。
「反応ないんだけど、コイツ。てかさ、もうすぐこの平原を抜けるわけで、城に行くわけで。ここで足止めしてるわけにいかなくね?」
「ひどいけどその通りね。珍しく貴女と意見が一致したわ。そういうわけだから、カナ、行きましょ」
「うー……うん」
カナ自身どうしようもないと言っていた割にはいざそうなると後ろめたい物を感じていた。
「…………みんな、さりげなくとても酷いですよ」
一番常識があるのは、君楊の呟きだろうか。
結局カナたちはナップザックの中に入っていた少しの食料をそこに置くと、すぐ近くにまで迫っている大きな大きな城塞に向かうことにした。それが目的地なのだ。
城塞の守りはとても厳しかった。
ガンとして動かなく、カナのペースにも崩されない。これが笑国との実力の差を示しているようだった。
これだけ貧富の差が激しいのだから、これくらいは当然なのかもしれない。
それを打破したのは、アイリが持っていたという「弱み」だった。