「え、あー、うっわ、なんでこんなとこにいるの?」
心に浮かんだ感情をすべて吐き出してカナはまくし立てた。いつの間にか大和撫子のことはおろか、同行していたアイリ達の事すら忘れられているようである。
「なんでって、私は魔法国に移国してきたんだから居たっておかしくないでしょ。むしろそれは私の台詞よ。カナこそどうして魔法国にいるの?後ろの人たちはお友達?」
カイがカナの後ろを指さした。へ?とした様子でカナが振り向く。
「そういえば……アイリと、リョウ、君楊。いつの間に?」
「……さっき反応しただろう」
先程まではアイリだけだったが、カイと呼ばれた女性と話しているうちにリョウと君楊も追いついてきたらしい。
「まあ、そんなのはいいや。気にしたら負けだ。んで……」
「ん?」
アイリがカナから目を離す。その視線は後方、つまりカイに向けられた。
「出来たらアタシらにそれが誰なのか教えてもらいたいんだけど」
『それ』というのはカイのことを指しているのだろう。言われたカイもその発言に思うところがあったのか、それまでの笑顔が一気に変貌した。
「あ、彼女はね、あたしの幼なじみのカイ・ユナイティス。一緒に四季国で育ってたんだけどね。両親が元々魔法国の出身だったんだ、
だから初等学校を卒業したときに親の仕事関係とかで移国しちゃったんだよ」
「ふぅーん」
続けてカナはカイの方を向いた。
「でね、カイ。こっちの女の人がアイリで、その隣にいるのが君楊。二人は四季国で料理屋さんだったんだ。
それから後ろにいる無愛想な男の人がトマト男」
「トマト言うな、おい」
「もとい、リョウね」