EACH COURAGE

Story - 2nd:An encounter and request [11]

第2章 出会いと依頼 [11]

「そなた達は四季国から来たという事だが……パーン王の命令らしいな。それを受けたのは……ふうむ、君というところか」
 空いていた左手でカナを指差す。思わぬ反応に、先程以上に驚くカナ。そしてそれは声となって表現される。
「どうしてあたしだとわかったんですか?」
 アイリは先程の営業スマイルを既に解除しており、王の行動を観察していた。君楊はアイリの意志命令を受け取り、未だ寝ているリョウから集中を外さないようにしている。 王の興味がカナに移った。それを感じとり、アイリが胸中でほっと安堵する。
「いや何、パーンの言っていた通りの娘だと思ってな」
「それだけでわかったりするのですか?」
「伊達にこのギャグ・アキラ、一国の主人を任されてはおらぬよ」
 そういうもんなのかしら。胸中で呟いて、カナは何だか拍子抜けした気分になる。ねえアイリ?と隣の彼女の方に顔をやったが、なにやらアイリは眉間にしわを寄せて、何かを考えているようだった。そのためカナには無反応だ。 どうしたの、とカナが聞くより早く、アキラが口を開く。
「私がここへ来たのはだな……まずはそこの、カナ・ロザリオ嬢の姿を見ておこうと思った事と、それから、君たちをテストするためなのだがね」
「テストだって?」
 返事をしたのはアイリだった。表情を更に険しくして、うさんくさそうに声をあげる。カナも顔を再び王の方に向け、なにがなんだか、という感情を体全体で表していた。アキラ王の隣にいる男もアイリの反応に驚いたのか、ぎょっとしているのが見て取れる。
「王!」
 対してアキラは冷静なまま、片手で男を宥めた。にこやかに微笑する。
「まあ、おちつきたまえ。さすがに不審がられても仕方がないことだしな。テストとはいっても、そんな大したものではないよ。なあに、簡単な事だ。この私を、斬新かつオリジナリティ溢れるギャグで笑わせてくれぬかね?」
 彼は真面目な顔をして、とんでもない事を言い放った。
『十分大した事です、王……』
 またはじまった、と言わんばかりに看守が頭を抱えた。彼はもしかしたらこの言葉を恐れていたのかもしれない。

 

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