カナが目を覚ますと、はじめ大きな鉢植えが視界に入った。吹き飛ばされた観葉植物だろう。
『あれ……?』
動かなかったはずの身体が、不思議な程軽い。状況の理解が出来ないまま、目をぱちくりとさせる。いまいち思考が働いてくれない。
右手はしっかりと剣を握っていた。左手を眼前に掲げ、ぎゅっと握ってみる。大丈夫、普通に動く。
自身の無事を確認したことで、ようやく周囲を見渡す余裕ができた。まずは首を左に向けた。
床には金色の髪の毛が転がっていた。そういえば、切られたっけ、と髪の毛を撫でた。もともと揃ってなかった毛先なのでそこまで目立たないな、とほっとする。
その先に血の染みがあった。今度はぎょっとしたが、さっきから自分の左中指が痛いな、と感じていたのでそれが自分のであるとすぐに認識した。
そしてそれよりもっと先に、クリーム色の布が覗く。
「リョウ?」
リョウが壁にもたれた姿勢で座っていた。慌てて左胸に耳を当てる。どくどく、と動く、心臓の音。
カナの髪の毛にかかる少し生暖かい息。
ほっ、と胸をなで下ろした。よかった。無事だ。
『ちょっとまって……。あたしが無事、リョウも無事。ってことは、あの二人は……?』
それまでにない速さで、カナは首を部屋の中心に向けた。
そこには、うつ伏せに倒れている女性の姿と、仰向けに倒れている少年の姿、そして、ずたずたになった葉っぱに、完全崩壊した屋根だった。